13条(個人の尊重、幸福追求権、公共の福祉) 24条(個人の尊厳、両性の本質的平等)

『夫婦別姓違憲訴訟』をマンガで解説。 夫婦同姓の強制は憲法違反になるの?

2018/04/08

『夫婦別姓違憲訴訟の判決までの流れ』解説マンガ1ページ目

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平成27年12月16日 夫婦別姓を求める違憲訴訟、国家賠償請求訴訟 最高裁 大法廷判決
*実際の事例とは当事者の状況、立場等について大きな変更を加えています。

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ポイントは?

この事件は、
「民法750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」
の規定は憲法に違反するのでは?と争われました。

憲法の何に違反するのかというと、まず憲法13条の次の規定です。

憲法13条
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

生まれたときから名乗っている姓を、結婚をするためにはどちらかが諦める必要があるというのは個人として尊重されていないではないか?ということなのです。

そして、更に憲法24条では次のように規定されています。

憲法24条
1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

まず、注目したいのは“婚姻は、両性の合意のみに基いて成立”という部分で、憲法では当事者同士が合意することだけが、結婚の条件だと規定しているのです。

ところが、民法750条では“夫又は妻の氏を称する”必要があると、当事者同士の合意以上に厳しい二者択一を迫っています。

もちろん、夫が妻の姓を名乗ることもできますが、現実的には9割以上が妻が姓を変えているという現状もあることから、“法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。”の本質的平等が実現されていないとパン美は主張しているのです。形式的には男女どちらの姓でも良いとされていますが、実際のところはほとんどの夫婦が男性の姓を選択している状況では本質的平等が実現していないということです。

そして、現実問題として国際的には夫婦別姓を認めるのが主流となってきていて、日本は国連の女性差別撤廃委員会から度々「法律を改正して別姓でも大丈夫なようにしなさい!」と勧告されているのです。

そんな経緯があったのですが、地裁・高裁では「憲法に違反しない」という判決が出されました。

そして出たのが今回の最高裁判決となります。最高裁は夫婦同姓を義務付けた民法の規定を合憲と判断しました。

合憲と判断した理由は次のとおりです。

・婚姻によって姓を変更を強制されないのは憲法上保障されていない。

・通称使用の広がりによって姓を変更する側の不利益が緩和されている。

・家族の姓を統一することには合理性がある。

なお、夫婦同姓を合憲とはしましたが、選択的夫婦別姓制度自体は「合理性がないと断ずるものではない」ともしています。

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関連条文は?

憲法13条
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

憲法24条
1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

民法750条
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

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-13条(個人の尊重、幸福追求権、公共の福祉), 24条(個人の尊厳、両性の本質的平等)