14条(法の下の平等) 24条(個人の尊厳、両性の本質的平等)

『女性の再婚禁止期間違憲訴訟』をマンガで解説。 女性だけ再婚禁止期間があるのは憲法違反になるの?

2018/04/08

『女性の再婚禁止期間違憲訴訟の判決までの流れ』解説マンガ1ページ目

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平成27年12月16日 女性の再婚禁止期間違憲、国家賠償請求訴訟 最高裁 大法廷判決
*実際の事例とは当事者の状況、立場等は大きく異なります。

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ポイントは?

この事件では、
「民法733条
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」
の規定が憲法に違反するのでは?と争われました。

なぜこのような規定があるのかというと、離婚後に生まれてくる子どもの父親についてのトラブルを防ぐためです。

この規定は、明治時代に出来たものですが、その時代ではDNA鑑定なんて出来る訳がないし、誰が父親なのか?を推定させることは十分に意味があることだったのです。でも、現代では誰が父親なのか?はDNA鑑定で簡単に分かってしまいます。

とはいえ、裁判所は父親と子どもの関係について血縁関係よりも、早期に父子関係を確立することで子どもを守ろうという考え方もしているのです。例えば、最高裁は結婚中に生まれた子どもが、夫の子どもじゃないとDNA鑑定で明らかだとしても法律の規定を優先して、嫡出推定を優先すると判断しています。いくらDNA鑑定で血縁関係が無いとわかったとしても、それまで父子であったのを無かったことにするのは子どものために良くないという判断なのですね。

これに対して、原告のパン美は「それなら前の夫ではなく、後の夫の子どもだと推定するようにすれば良い」という主張をしていました。実際のところ、離婚後に生まれる子どもはそういったケースが多いでしょうし、外国ではこのように定めているところもあったりするのです。

以上のような経緯を踏まえれば、民法の規定は時代遅れという感じが否めないものでしたが、地裁・高裁では「憲法に違反しない」という判決が出されました。

そして出たのが今回の最高裁判決となります。

結論としては、最高裁は100日を超える部分についての再婚禁止期間を違憲としました。つまり、100日までの再婚禁止期間は合憲ということになります。なお、国への賠償請求は認められませんでした。

民法判例についてはこちらのブログをどうぞ!

www.sibakiyo-minpo.com

関連条文は?

憲法14条1項
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない

憲法24条2項
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

(旧)民法733条
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

(新)民法733条
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

民法772条
1.妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は,婚姻中に懐胎したものと推定する。

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